ふと思い出したことを記載します。
会計基準というのは、私の感覚では非常に論理的であり、逆に言うと実際的ではないと感じることが多いです。税効果会計や固定資産の減損に加え、表題の会計基準もその一つになります。
私が3社目に入った時は、丁度会計基準の改定ラッシュであり、IFRS(国際財務報告基準)導入の機運が高まっていた頃でした。入社して1年後に経理部門に配属になった時に、丁度導入初年度を迎えたのが資産除去債務でした。私は係長として、その導入に当たることになりました。
資産除去債務というのは、簡単に言うと、購入した資産について、いずれ除去する時に一定のコストが見込まれるものは、そのコストを使用予定期間に基づき毎期配分して費用化する、というものです。こう聞くと簡単かもしれませんが、ここに金利要素を加味しなければならないので、結構計算は面倒になります。
また、対象となる資産については、導入した当初では、私が所属していた会社では主に、①アスベストを含有している可能性のある建物、②内部造作した大型の賃貸物件、でした。
実務側としては、対象となる資産をなるべく少なくするよう、対象物件に金額基準を設け、その基準をできるだけ高くするよう会計士と交渉していたように思います。何せ導入初年度なので、使用予定期間の大半が過ぎている物件ばかりであり、この年度に一度に費用化する金額が莫大になりますので。
それでほぼ金額が決まった、と思ったところに、③PCB含有物処理費用、が加わってきたのです。ご存知の方も多いと思いますが、PCBは今では使用を禁止されており、高濃度と低濃度に分けて処理期限が設けられています(高濃度は処理期限が既に来ていたと思います)。これを間際に会計士にぶち込まれて、やむなく算定したところ、子会社の一つに当年度の利益の大半がふっ飛ぶ会社が出てきました。
とは言え、会計基準の変更なので、対応せざるを経ず、説明の上進めようとしたところ、その子会社の社長から私に電話がかかってきて、罵倒されました。
「お前どういうつもりだ!何故こんなことを急にするのか!」といった感じです。
いや、私も別にしたくてしているわけではないし、何故実務対応しているだけの私がこれほど言われなければいけないのか・・・理不尽さを感じた出来事でした。
ちなみに、その子会社社長が怒っていた理由は、業績数値により個人評価(賞与等)が決まるからでした。
ということがあり、資産除去債務は、もともと理屈先行と感じていて嫌いな会計基準な中でも特に嫌いな会計基準となりましたとさ。