新聞を見ていると、「申告漏れ」により、企業が追徴課税を受けている記事を見ます。普通の方はこのような記事を見ると、その企業に対しあまり良い印象を持たないでしょうが、経理マンとして数々の税務調査に立ち会った身からすると、少し異なる見方をしていますので、本日はそれを述べてみたいと思います(以前に似た記事を書いておりますが、改めて)。
まず、税務調査は大企業だと2〜3年に1回あるのが通常です(法人税及び消費税)。私の経験では、一番大きい部類の所謂「特官所管法人」であれば、5人以上の通常メンバーに加え、更に5人程度の他の国税局応援人員も加えて、長い時は半年ほどかけて調査が行われます。
国税側も、これだけの人員を割いて調査をしており「手ぶら」で帰ることもないので、「成果」≒追徴課税を持って帰るのですが、追徴の方法は大きく分けて2つあります。
一つは「過少申告加算税」、もう一つは「重加算税」です。簡単に言うと計算間違いや認識の相違により税金が少なく申告していたものが前者、意図的に隠蔽などをして少なく税金を納めていたものが後者となります。違いは「知っていてやったか」というところです。従って、過少申告加算税はペナルティとして通常の税金に10%の上乗せに対して、重加算税は35%の上乗せになります。
先程も言った通り全くミスが発見されないわけはないので、最終的にいくらかの追徴課税として、少なくとも過少申告加算税を会社は課されることになります。そしてこれがニュースになったりするわけです。
さて、皆さんはどう思われるでしょうか。税務調査が来て真摯に対応したが認識の相違により過少申告加算税を課されたらニュースになった、となると。ニュースになるのはそれなりの理由があるのかもしれませんが、ニュースに出れば、それを見た普通の人の中には「この会社は脱税まがいをした」と思い込む人もいるのではないでしょうか。重加算税ならともかく、過少申告加算税でそれは酷というものだと考えます。
ですので、今後このようなニュースを見られる際は、追徴されたのは重加算税だったかどうかに注目して見ていただき、過少申告加算税だった場合は、担当者さんはご苦労さんだったね、と労ってあげて欲しいと思うのが、いち経理マンの願いです。