経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

株主総会の思ひ出5(実質株主)

株主総会で経営側が気にするのは大株主の動向です。期末日を10日程過ぎれば、証券代行から株主名簿が送られてきます。じゃあ株主が誰か分かるやん、と思われるかもしれませんが、そう簡単ではないんですよね。株主名簿に載ってくるのは表面株主だけで、実質株主は分からない場合が多いのです。

上位の株主は招集通知や有価証券報告書で誰でも分かるようになっています。皆さんはそこで「マスタートラスト〜」とか「カストディ〜」という名前をご覧になったことはあるでしょうか。これが表面株主になります。調べると「機関投資家代理人として、投資有価証券の保有や管理を行う」と書かれています。つまり、これらの表面株主は様々な機関投資家保有株を預かっているから株主として名簿に載っているだけ、議決権を保有する実質株主(機関投資家)は別にいる、ということです。

じゃあ実質株主はどのような人たちが多いか、と言うと、日本の場合はアセットマネジメントのような資産運用組織の場合が多いです。因みに、これらの組織は議決権行使基準や、過去の議決権行使結果を公開している場合が多いです。但し議決権数は公表していません(一部は証券代行から報告がありますし、金を払えばもっと詳細に調べてくれます。ですが、私は無料である程度調べる方法を知っています)。

問題は一部の国内や海外の表面株主です。その中にアクティビストが保有している場合があります。実質株主名及び番号さえ特定できれば、過去6ヶ月の売買動向を確認する方法はあるのですが、それが分からないと、発行済株式総数の5%超保有の場合に提出が義務付けられている大量保有報告が出るまで全く分からないと言うこともあります。

もう一つわからないのはGPIFです。年金を運用している公的機関で、アセットマネジメントに運用を委託しています。GPIF自体の保有株は分かるのですが、どのアセマネを通してどのぐらい保有しているかは全く分かりません。GPIFは指数に応じて比例的に配分投資するパッシブ運用が多いので、そこから類推するしかありません(さすがにこの部分は証券代行も調べる方法がないようです)。このような制約の中、票読みを行うことになります。

しかし、最近ではコーポレートガバナンス・コードに基づきプライム上場企業は議決権電子行使プラットフォームに加入することにより、議決権行使状況がタイムリーにかつ詳細に分かるようになってきたので、票読みや議決権行使分析も多少はやりやすくなっております。手に入る情報をもとに如何に行うかは株主総会担当の腕の見せ所の一つと言えるでしょう。