株主総会は決算期末日から3ヶ月以内に行うことになっており、3月決算会社だと6月下旬に行うのが通常です。ですので、4月上旬ぐらいだとまだ全然準備は始まっていないだろうと思われるかもしれませんが、そろそろ準備をしなければいけない事が出てくる可能性があります。それが、株主提案対策です。
株主提案は以下のような要件があります。
提案可能株主:総議決権数の1%もしくは議決権300個を権利確定の以前6ヶ月以上保有している株主
提案可能時期:原則株主総会の8週間前までに到達
つまり、6月下旬に株主総会をする事が通常となっている会社は、そろそろ株主提案を受領する時期、ということになります。
私も、以前の会社で実際4月中旬に株主提案を受け取ったことがあります。それまではそのような経験がなかったので、会社は蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。
会社にとって何が大変かというと、以下の対応が忙しいこの時期に追加されるからです。
①株主の存在及び、提案権利があるかを確認
②取締役会の、株主提案に対する意見をまとめ、表明する(通常、反対の意見表明)
③通常の議案に加えて、株主提案も招集通知に記載する(取締役会意見も添える)
何だ、たったそれだけか、と思われるかもしれませんが、これが大変なのですよ。例えば・・・
①株主名簿を確認する。また、複数年連続で提案を受けた時は、前年度もしくは前々年度と同様の株主提案で、10%未満の賛成率で否決されたものではないことを確認します。上記に当てはまる場合は、提案の権利自体がありませんので。でもまあ、実態は、同様かどうかで提案株主と裁判沙汰になるのは嫌なので、提案を受けて粛々と否決する場合もあろうかと思います。
②意見案を作る、弁護士に見てもらう、修正後取締役に確認する、修正後弁護士、取締役・・・のループになります。終わりません。そもそも案を作るのも結構大変だったりします。反対理由が納得度低いと株主提案賛成に雰囲気が傾く恐れもありますから。また、表明のタイミングもあります。招集通知発送前でかつ、早すぎないタイミングが良いでしょう。取締役会開催が必要です。案外選択肢はありません。
③も、ただ単に送られてきた提案や意見の文章を載せればよいというものではありません。如何に一人でも多くの株主に反対してもらうか、工夫をこらす必要があります。反対すべきと思わせるような表示にする(取締役会が反対であることを殊更に強調する等)、議決権行使書やインターネット議決権行使で間違って賛成されないように、賛否の位置を工夫する等・・・割と細かいことまで対応しているのです。
後は、安定株主の確保と票読みです。大抵の議案は過半数を押さえれば大丈夫なので、大株主には、場合によっては個別に説明し、反対を取り付けたりします。
これらのことを、通常の株主総会業務に加えて対応する必要があるのです。大変(面倒くさい)のは想像に難くないでしょう。
少々長くなったので今回はここまで。次は証券代行について触れたいと思います。