経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

株主総会の思ひ出4(株主提案3)

前回で株主提案は最後にしようと思ったのですが、やはりこれは書いておきたい、と思ったので、もう一回費やして株主提案について触れたいと思います。

株主提案1で「安定株主の確保と票読み」と記載いたしましたが、ここについてもう少し詳しく書いてみますと、前の会社では、株式を保有している取引先の会社(いわゆる持合い先も含める)に連絡して、議決権行使書の早めの提出を促す、ということをしていました。つまり、インターネット議決権行使だと締め切り(前日ぐらい)まで行使し直すことができ、万一直前に入力間違いにより会社にとって不利な行使をされると困るからです。対象となる議決権数は、大半の株主提案の否決が確実になる過半数にできるだけ近くということになり、そうなると社数は当然ながら膨れ上がり、これに対応する時間も比例的、あるいはそれ以上に増えることになります。会社によってはすぐに対応してくれなかったり、対応すると言っていながら送ってくれなかったりする場合があるからです。こうやって、株主総会準備の忙しい時期の総務部の時間は無駄に浪費されていくことになるのです。

ここからが私が言いたかったことですが、経営者はなぜ株主提案をしてくるようなアクティビストに狙われているかを、もっと本質的な部分から考え理解してほしいと思います。会社というのは継続的な成長を目指すものであり、財務的な観点から言えば稼いだキャッシュ(利益)をもとに借入をしてレバレッジをかけ、更なる成長のために投資する、という行動につながると思います。従って、借入自体は全く悪ではなく、寧ろ無借金経営というのは会社の行動としては理にかなっていない、とも言えます。使うあてが無いのであれば、余裕あるキャッシュを株主に継続的に還元すべきです。一時期に一気に還元すると、特定の株主にその効果が偏ることになるため、継続的に行うことが必要でしょう。

借入をして果敢に成長を目指すわけでもなく、かといって株主還元に積極的になるわけでもなく、現状に安住して「家庭の主婦」みたいに一生懸命お金を貯める(やりくりを工夫するという意味であり、家庭の主婦をバカにしているわけではないので念のため)、このような行動に疑問を投げかけている(つけこまている)だけなのです。そして、そのような会社に限って、株式持ち合いが多い(=経営陣の保身がしやすい)ことが多いです。実際、経営トップに君臨して10年以上、なんて会社が多々あります。

アクティビストに阿りへつらえと言っているわけではありませんが、アクティビストに狙われた会社の経営者は、本来取るべき行動を取らなかったために社員に余計な労力をかけていることに思いを致し、行動変容することを期待します。