私が考える原価計算の目的は、「生産活動における問題点を抽出し、改善につなげるためのヒントを得る」ということだと考えております。極論を言えば、問題点を効率的に抽出できる仕組みであれば、原価計算自体が間違っていても問題ない、と考えております。
原価計算の面白いところは、生産活動が原価計算(数値)に如実に反映されることがあるからです。これも実体験としての話ですが、以前いた会社で、生産改善活動の為に、ラインを変更するということがありました。具体的には以下のような内容になります。
(と記載しましたが、具体的な工程ノウハウに該当する可能性があるため、かなり昔の話ですが、ここでの記載は割愛いたします)
➡効果:工程人員が4人から1人に少人化。人が触らずに製品を集積できることによる製品不良率低減
この結果、具体的な金額は忘れましたが、原価が大幅に低減しました。目の前で実際に確認した活動が数値にこのように現れるのかと非常に衝撃を受けたことを覚えております。
経理はどちらかというと机上の作業が多く、全体を見渡せる代わりにそれぞれの活動を表層的にしか理解できていないことも多くあるように思います。上記のような経験を通して、会社への理解を深めるとともに、机上の空論に終わらせず実際の活動と紐づける、これが経理にとって重要であり、原価計算の醍醐味だと考えております。原価計算を担当されている方は、このような考え方もあるということを頭の片隅に入れていただければ幸いです。