経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

経理のお仕事(原価計算)1

今回は、経理のお仕事でもメーカーならではの仕事について話をしたいと思います。

テーマは「原価計算」。私は数社で経理を経験しておりますが、全てメーカーであり、業務経験として一番長いのが原価計算なので、原価計算にはこだわりを持っております。

原価計算の目的は何か、ということについての私の考えを申し上げます。販売製品の原価を計算し、「正しい」損益計算を行うことが原価計算の目的と言えばそうなのですが、私は少し異なった考えを持っております。

そもそも会計基準では原価計算の詳細な方法についての明確な基準はなく(「詳細な方法について」ですよ)、「一般的に公正妥当と認められる」方法で行えばよいというように私は理解しております。なぜなら、各会社の製法、製品種類等によって、原価計算の方法は画一的に規定できるものではないからだと考えます。このような理解の上で、それでは「正しい」とはいったいどういうことを指すのか、が重要になってくると思います。

結論から言いますと、私は「正しい」原価計算なんて存在しない、と考えております。原価計算は一般的に、材料費等製品に直接紐づく原価は直接的に把握し、間接的に使用する原価(例えば多くの製品を製造する機械に係る原価)は一定の基準によって配賦(はいふ)することになります。機械関係原価であれば、一般的に各製品の機械使用時間比率によって配賦することが多いと考えます。

例えば、通常は利益率の高い製品A及び通常は利益率の低い製品Bの両方を製造する設備ラインがあり、毎月原価計算を行っていると仮定します。ある月は製品ABともに出荷が多くありましたが、翌月製品Bの出荷が全くなくなりました。その場合、直接紐づく原価は製品A分しか発生しませんが、間接的に使用する原価は、生産が低調でも機械はあり人員が配置されているため、前の月と発生原価金額は変わりません(所謂固定費)。ただし、製品Bは生産がなかったため、使用時間はゼロであり、間接的に使用する原価は全て製品Aに配賦され、結果製品Aは赤字になりました。翌月の業績を見て製品Aは赤字だから生産を止めるべきだという結論が導き出される可能性がありますが、この結論は間違っているのは明白です。それでも、原価計算上はルールに則って計算されており、財務諸表としては間違っておりません。

私の言いたいことはお分かりいただけましたでしょうか。原価計算はその時その時の状況により結果が変わるので、この製品の原価はこの金額、と明確にすることはできないのです。以前いた会社では、各製品の原価を「正しく」把握するために、間接的に使用する原価をより詳細に区分してそれぞれに配賦比率を設定することを経理に要求する社長がいましたが、原価計算の要諦が全く分かっていない証左といえると私は考えます。

それよりも原価計算には大事な目的があります。それを次回お話ししたいと思います。(つづく)