経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

経理のお仕事(税務)1

今回は経理のお仕事でもより専門性を問われる分野について話したいと思います。私は原価計算の次に税務に携わった経験が長いですが、会社での税務業務は主に法人税、消費税、所得税、固定資産税、印紙税等となり、税法でもそれほど広い範囲の知識があるわけではありません。また、税理士の資格を目指したわけでもないので、税法に関する専門的な知識の蓄積もありません。しかし、税務業務を通して、税法の基本的な考え方、税法の仕組み等を理解することは、会社で仕事をする上だけではなく、資産運用等の面でも意義深いと感じております。

その前に、経理の仕事の内容をあまりご存知のない方の為に、「会計と税務」について簡単に説明したいと思います。

会社の状態を一定のルールに基づいて金額(数値)を用いてまとめることが経理とすると、そのルールは大きく2つあると考えていただければよいと思います。それが「会計」と「税務」になります。これらは主に以下のような違いがあります(大雑把な内容となっておりますので、小さな誤りには目をつぶってください)。

   根拠法令     管轄   主な作成資料    主な目的  

会計 金融商品取引法等 金融庁等 有価証券報告書等  投資家への情報提供

税務 税法等      国税庁等 申告書(法人税等) 適切な納税

両方とも主な目的のために「どれだけ儲けたか」をまとめることになりますが、会計ではそれを「利益」と言い、税務では「所得」と言います。そして、これら2つの金額は根拠法令やそもそもの考え方が異なるため一致しないのが通例です。その一方で、それぞれの目的の為に似たような作業を一から行うのは極めて非効率です。そこで、一般的にはまず会計上の「利益」を算定し、そこから税務上の「所得」との差の金額を調整して「所得」を算出する、という方法を取っております。

そもそもの考え方が違う、ということを理解するうえで、私が考える会計及び税務の特徴的な考え方の一つをここで挙げたいと思います。

会計・・・保守主義、費用収益対応の原則

税務・・・債務確定主義

つまり、会計では、発生可能性が高い費用を認識した場合、その時点で費用処理する(対応する収益がある場合はその収益も処理する)が、税務では費用(「損金」と言います)認識するのは、その損金の元となる事象が実際に発生し確定した時点で損金認識することになります。税務上は、可能性だけで損金計上されれば、結果として所得が減少し、納税額が減る(納税額を操作される)可能性があるからと言えるでしょう。

この前提を説明したうえで、具体的な税務業務について説明しようと思います。(つづく)