経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

FANUC

皆さんはファナックという会社をご存知でしょうか。FA(Factory Automation、工場自動化)、ロボット、ロボマシン及びサービスを展開する日本有数の国際優良銘柄です。売上高は約8,000億円、営業利益は約1,400億円、営業利益率は前年度比低下したとはいえ、それでも約18%という高収益企業です。イメージカラーは黄色、以前は開示に極めて消極的な謎の企業でしたが、現在はIRや株主還元にも積極的な会社です。その会社が昨日、2023年度決算を発表いたしました。今日はその内容に触れましょう。

なぜファナックを選んだかと言うと、これから本格化する3月期決算のほぼ最初になるこの早いタイミングで決算を発表する会社であることに加え、世界展開している生産用装置産業であるため、業績の中身を確認することにより、ある意味世界の生産活動の先行指標的に理解できる可能性があるからです。因みに、PBRの高さにより、私の投資対象にはなりません。では、決算説明資料を見て私が気になった部分を書いていきます。

まずは、売上高、営業利益及び営業利益率の年度別推移(3ページ)です。売上高はコロナ期から回復しているものの、前年度より低く、営業利益率はここ7年で一番低い水準となっています。世界的な設備投資が若干弱含み、原料高の影響を割と被っている、と思われます。

次に、四半期単位の地域別売上高(9ページ)を見ると、全体の売上高は横ばいですが、中国の売上高が改善しております。時系列でみると中国の売上高の減少が全体の減少に大きく影響していたことが読み取れるので、中国の景気が底打ちし、回復していく状況も期待できます。

そして、それを裏付けると思われるのが、受注高です。機械装置メーカーは売上高の他に受注高や受注残高を開示している会社があります。これらは財務諸表には載らない数値ですが、受注残高の推移などは、翌期の売上高の先行指標とも言え、極めて重要な数値と考えております。その受注高ですが、やはり中国の底打ち感が出ている数値と言えるでしょう。

ただし、2024年度の連結業績予想数値(13ページ)は2023年度比減収減益となっております。売上高は約△6%、営業利益は△15%となっています。売上原価率が、下期にかけ悪化するものの、通期では若干の悪化に留まるので、販管費があまり減らないことが利益率悪化の主因となっております。ただし、為替前提が1US$=135円であり、為替影響については以前の決算説明会(2022年度第2四半期決算説明会質疑応答要旨)で「円安は(業績影響としては)基本的にプラス」とのことですので、この業績予想は保守的(慎重)な見方と言っても良いのでは(それほど悲観視する必要はないのでは)、と考えます。なお、今(4/24夜)見たところ、Yahooファイナンス掲示板では業績予想に対して悲観的な意見が多いですね。

とは言え、以上より、世界景気は予断を許さないものの、景気があまり良くなかった中国では底打ち感が出てきているのでは、と私は読み取りました。中国を主戦場としている会社の中には今年に入ってからの株高に乗れていない会社もありましたが、今後そのような会社が業績改善に向かい、株価にも反映されることが期待できるかもしれません(投資は自己責任で)。