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適時開示をどう読むか(大日精化)

この記事は昨日夜に書いております。会計用語が多いこと、ご容赦ください。また、会社から帰って落ち着いた後寝るまでの短い時間での記載ですので、計算誤りや認識誤りがある可能性が多々あること、先に申し添えます。

3月決算会社の期末を控え、適時開示が活発化してきているように思います。本日は私達の所有株の1つである大日精化が業績に関する開示をしておりましたので、それをどう読んだかを記載します。

開示は2つあり、一つは「減損損失の計上及び連結業績予想の修正に関するお知らせ」であり、もう一つは「固定資産の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」というもので、前者は業績面ではマイナス、後者はプラスの内容となっております。ただし、前者は今期(2024年3月期)影響する内容に対して、後者は来期(2025年3月期)に影響する内容となっております。

1つ目の内容はグラフィック&プリンティング マテリアルセグメントにおける収益性低下による固定資産の減損損失△21億円計上するが、政策保有株式の売却による穴埋めもあり、親会社株主に帰属する当期純利益は最新予想から△7億円減少するという内容です。過去の決算短信等を確認すると、グラフィック&プリンティング マテリアルセグメントは赤字続きであり、昨年度も日本国内の工場を対象に減損損失△17億円を計上している問題事業ということになるようです。2019年から総額126億円の投資を行っているが、想定ほど順調に事業が伸びていないということでしょう(詳細はホームページの決算説明会の質疑応答をつぶさに見れば分かりそうです)。なお、政策保有株式の売却により売却益を出しておりますが、これは損益計算書上利益増となりますが貸借対照表上はプラスとなりません。なぜなら、上場株式は毎期末時価評価されており、売却した場合にかかる想定税額を控除した含み益はその他投資有価証券評価差額金という資本科目に計上されているからです。

一方、2つめは、そのグラフィック&プリンティング マテリアルセグメントの固定資産を売却することにより約+77億円もの売却益を計上するというものです。減損していながら何故売却益?と思われる方もおられるかもしれませんが、当該セグメントに属する工場が2つあって、片方に大規模投資することにより集約して(こちらが減損対象)、もう片方を売却して益を出す作戦のようです。税務上の繰越欠損については、短時間ではグループのどの会社で発生しているのかは分かりませんでしたが、上記売却益の大半を無税で受け入れることができる可能性があると見ております。なお、こちらの売却益については、対象固定資産は時価評価されていないと考えており、損益だけでなく自己資本の増加にもそのまま効いてくると考えます。

同社の今期の親会社株主に帰属する純利益の予想は34億円(198円/株)、上記売却益が全て課税対象だとしても純利益影響額は約54億円(320円/株)、当期と同額の純利益を来期も確保できるとするとその総額は約88億円(518円/株)となり、相当大きなプラスのインパクトがあると考えられます。

当社は自己資本比率は58.2%あり、キャッシュバランス(現金及び預金+投資有価証券-有利子負債等)が+135億円(2023年12月末)と大幅なプラスである上に、今回の土地売却でキャッシュポジションが更に強化されると考えられ、財務的には当面の心配はないものと思われます。問題は設備投資の効果を如何に出すかであり、この点を含めて、私は現時点においては方向性としては株価上昇で反応するのではと考えておりますが、さて当たりますかね。明日が楽しみです。

・・・以下は本日昼、公開直前に記載しております。

本日の株式市場は横ばいの中、大日精化は+1.8%の上昇ですので、市場は全体としてプラスと受け取ったと理解してよいかと考えています。私の見方はそう外れていなかったようで、良かったです。