経理マンでもFIREしたい

〜とあるアラフィフ経理マンの早期退職を目指す日常〜

「業績予想の修正」開示に見る会社の姿勢(積水化学)

1日に5つの会議を詰め込まれた結果、朝9時から夕方5時まで一時たりとも休み無しの日ができてしまった社畜alagataです。・・・いつ昼飯食えっちゅうねん。

愚痴はさておき、本日は昨日の決算発表で気になったことを記載します。昨日は私が以前いた会社を含め、割と多くの会社が決算発表を開示しました。そのうち、積水化学工業について触れたいと思います。

積水化学は皆様のご存知の通り、化学から住宅(セキスイハイム)まで幅広い事業領域を持つ大きな会社です。業績は安定しており、今期も増収増益予想、自己資本比率も60%前後と高く、配当も増やしており、投資家目線でも優良企業と言えるでしょう。そんな積水化学が業績予想を修正していました。

ご存じの方も多いと思いますが、業績予想の修正を単独の適時開示として出さなければいけない場合の決まりがあります。既に出している業績予想から、売上高で±10%、各段階利益で±30%上下に変動した場合です。逆を返せば、売上高及び各段階利益全ての変動幅が上記以内であれば適時開示の義務はありません。これは、業績予想の変動が投資行動に大きな影響を及ぼす可能性があるためです(ただし、基準に抵触しなくても開示するのは自由です)。開示タイミングは「直ちに」となっていますが、予想は確定数値と異なり、言わばどのようにでも作れますので、どのような予想をした時か、いつが判断のタイミングかは実質的には各社の運用に任されていると言っていいでしょう。よって実際は、それをいいことに修正せざるを得ないギリギリまで発表しない、というパターンも多々あると推察します。以前いた会社は業績予想をできるだけ出さない傾向がありましたし、保守的な会社だったので、出すのは上方修正ばかりでした(機関投資家との面談で「どうせ予想より上に行くんでしょ」と言われたことも)。

本日積水化学が出した業績予想の修正は、売上高△177億円(△1.4%)、営業利益△50億円(△5.0%)だけでした。最終的な利益である親会社株主に帰属する当期純利益は変更なしです。さすがに修正単独の適時開示はせず決算短信上での開示でしたが、基準と比べるとはるかに少額の修正であっても開示する姿勢は、私の様な財務情報を主な判断材料とする投資家にとっては、きらびやかで空虚な決算説明資料を出されるよりよっぽど信頼感を持てるものと言えるでしょう。

このように、決算発表の仕方だけでなく、同じ書類でも会社により取り扱いは千差万別ですので、何らかの観点で書類を見比べればそこから会社の姿勢が見えてくる場合もある、と私は考えております(開示実務をしていると、主に経営者との色々なせめぎあいがありますが、それはまた別途)。